源丞内(げんじょうない)[生没年不明]
「養老の滝伝説」です。昔美濃国に源丞内という名の木こりが住んでいました。源丞内は山に登って薪をとってきては売るという仕事で、年老いた父親の面倒も見る親孝行者でした。暮らしはとても貧しく、父親の好きなお酒を買うこともできませんでした。その日もいつものように山に登った源丞内は岩から滑り落ちてしまいました。しばらくして辺りを見るとなんだかお酒のにおいがしてきました。よく見ると岩の間から山吹色の水が流れ出ており、なめてみるとお酒でした。腰のひょうたんに入れて家に持ち帰り父親に飲ませるととても元気になりました。この出来事は奈良の都に伝わり、元正天皇は「親孝行の心が神々に通じたのでしょう」と仰せになり、この地に行幸することとなりました。天皇がこの水を飲むと肌はなめらか、体の痛みも取れ「老いを養う若返りの水」と仰せになり、年号も養老となりました。